No.33_柳家小三治さん

柳家小三治さんの訃報が飛び込んで来ました。

本当に本当に悲しくて、本当に本当に残念でなりません。

店主のつぶやき_No.22』の最後にも記載しましたが、小三治さんは僕が数十年に亘って心酔し、追い続ける三大ヒーローのお一人です。僕が初めて小三治さんにお目に掛かったのは約30年前、前職の設計監理の仕事で札幌の菓子店舗が竣工したときでした。そこの社長がお店のオープン前、2階の喫茶フロアに高座を設え、懇意にされていた小三治さんをお招きして、『柿落としの一席を設けるので観にいらっしゃい』とお誘いしてくれたのがきっかけです。その時は正直『お仕事付き合いの社長が声を掛けて下さったので行かなくちゃ』くらいの思いで伺いましたが、小三治さんが高座に上がり、お噺が始まったとたんに魅了され、終演後も『なんだこの世界は!凄過ぎる!素晴らし過ぎる!』と、僕はすっかり小三治さんのとりこになってしまいました。

その数年後、僕は東京に帰任しましたが、そこから寄席通いが本格化しました。東京には4箇所の寄席がありますが、それぞれのスケジュールをネットでチェックしては、小三治さんがトリで出演する日に足を運ぶ様になりました。出演者は10日毎に入れ替わりますが、小三治さんが出る席(10日毎の1スケジュールを席といいます)では2度以上足を運ぶこともありました。(本日のサムネイル写真は新宿末広亭に小三治さんが出演した時のものです。)

寄席では小三治さん登場の出囃子が三味線で奏でられると、いよいよだぁ!といつもワクワク、ゾクゾクしました。『待ってました〜!』と言う感じです。そしてマクラ(本演目の前のよろず話)がまた最高に楽しい!思わずクスッと笑っちゃいます。時折見せる小三治さんの口を真一文字に結んだ表情や、お茶目な笑顔は本当に大好きです。そしていつの間にか演目が始まり、そこから先、小三治さんはその登場人物にしか見えなくなります。

今にして思うと寄席へは『小三治さんに会いに行ってたんだなぁ』と思います。観に行く、聴きに行く、笑いに行くでもなく、小三治さんという人に惹きつけられ、会いたくて、会いに行ってた...そしてお会いした後は、いつも本当に温かくハッピーな心持ちで帰宅の途に着けました。

けれどコロナ禍になってからは1年以上、小三治さんにお会い出来ない日々が続いていました。そんな中、年末12/14の店休日に江戸川総合文化センターでの小三治さん出演予定の江戸川落語会のチケットが取得出来ていましたので、緊急事態宣言も明け、いよいよ久し振りにお会い出来ると楽しみにしていた矢先の訃報に、本当に残念で、寂しく、悲しい思いでいっぱいです。

でも、今まで本当にありがとうございました。お陰様でいつもハッピーな心持ちにさせて頂きました。

どうぞゆっくり、おやすみくださいませ。