No.122_深煎りなのに苦くない、酸味豊かなのに酸っぱくない
『深煎りなのに苦くない、酸味豊かなのに酸っぱくない』、今回の妙なテーマですが、実はこれがいろどりこーひーの全てのコーヒーに共通して目指しているテーマなんです!
ん?それだけ?と聞かれると...それだけ!なんです。^^;
でも、それが真に実現出来ると、あとに残るのはそれぞれの産地のコーヒーが固有に持っている風味(=テロワール)だけとなり、そしてそれが存分に楽しめる!と言うことになるからです。ブレンドも先ずはシングルがしっかり焙けた上でのブレンドですから結局全てのベースとなります。
因みに『深煎りのコーヒー』と聞くと、どんな印象を持たれますか?若しかしたら『苦い、ダーク、濃い』みたいなイメージでしょうか...これらは必ずしもネガティブな風味表現ではないとは思いますが、僕が考える深煎りコーヒーは、苦いものではなくて、コクという形でしっかりしたコーヒー感を楽しめるコーヒーだと思っています。そのコクがうまくバランスすると甘ささえ感じることが出来ます。その実現のために焙煎工程の全てのフェーズでカロリー超過にならない様(コゲ感が出ない様)、生豆の投入温度、火力、排気量、進行時間、煎り止め温度を慎重にコントロールしています。
もう一つの『酸味豊かなのに酸っぱくない』、正直、こちらを端的にお伝えするのはとっても難しいです。そのためにも一旦、果物の話に脱線してから戻ってきます...
くだもの...りんごでも、みかんでも、いちごでも皆んなそれぞれ酸味を持っています。それは果物毎にそして同じ果物でも品種、産地によってそれぞれ違った酸の質と量を持っています。これが糖度と相まってその個体のおいしさが形作られているのだと思います。仮にも酸がなくて(乏しくて)、砂糖甘いだけでは、決してあの美味しさは楽しめません。
コーヒーも言うなれば農作物です。それぞれのコーヒー豆には大なり小なりの酸を含んでいます。果物がそうであるように美味しいコーヒーにも酸が必須なんですね!
方や良質ではない酸を含んだコーヒーがあることも事実です。それは生豆起因(収穫時に未完熟の実が混入していたり、種子[生豆]を乾燥、脱殻する段階の品質管理不足)だったり、焙煎起因だったりしますが、その両方のネガティブな酸(嫌な酸っぱさ)を排除するのは僕の役割です。
漢字の“酸”の字をみて『酸っぱいの“酸”』という印象が想起されるのもやむを得ないですが、僕としては酸っぱさの度合いではない、前述の美味しい果物に通じる良質な“酸”を理屈抜きに【美味しさ】と言う形でお伝えしたい!と思っています。
そうなんです。理屈抜きに...。ここまで少々理屈っぽいことを書いてしまいましたが、コーヒーを飲む方にとっては要は美味しければいい!と言うことですから。
僕が思う理想は、お客さまはそれが深煎りなのか、実は酸味豊かなのか、そんなことは一切気に掛けず、『わぁ、美味しい!』そう感じて頂けることだけなんです。それには淹れるための特別なテクニックも不要な、お手軽に美味しく頂ける、そんなコーヒー豆作りにこれからも努めて行きたいと思います。
いろどりこーひーは珈琲豆を通して、皆様の心豊かな生活に“彩り”をお届けします。