No.139_焙煎機の蓄熱をコントロールする

今回のテーマ『焙煎機の蓄熱をコントロールする』ですが、きっとなんのことだろう?と言うテーマですね。実はこれ、僕が焙煎中、気に掛けていることの一つで、少々マニアックな焙煎論になりますが、宜しかったらお付き合いください...

僕が使っているPROBAT社の焙煎機は、その重量が340kgあります。これは焙煎中回転しているドラムを覆っている窯の鉄部が主にその重さを占めているのですが、この鉄は鋳物でとても分厚く、焙煎終了後、3時間以上経っても尚、触れると温かさを感じる程です。これは焙煎により窯の鉄部が温められたこと、つまりそこに蓄熱されたことによります。

この蓄熱は焙煎中も進行にとても大きな影響を与えます。

何も対策を講じないと1窯目より2窯目の方が窯の鉄部は熱を持ちます。(1窯ヤイタ熱で鉄部が熱せられ蓄熱するためです。)

因みに焙煎はガスの火力(実際はその火力で熱せられた熱風)で豆をヤイテ行きますが、細かなことを言うとドラムを覆う鉄部の蓄熱と相まったエネルギーでヤイテいるんですね。

そこで焙煎をいつも安定した(同じ)進行にするため、実は1窯目の焙煎前に予熱を行います。これは2窯目スタート時と限りなく同じ蓄熱状態にすることを目的としています。具体的には焙煎終了温度(豆を窯から出す温度)まで加熱し、ガスの火を種火に切り替え、ドラム内温度が約3/4まで下がったら再び点火して再加熱、そして先ほどの温度まで上がったら又種火にする。再び3/4の温度まで下がったら点火して...これを3回繰り返します(この高低二つの温度は予め定めた温度があります)。そしてこの一連のルーティン(予熱)には約30分の時間を要します。

実はここまでやっても1窯目の蓄熱状態は2窯目以降と微妙に違うので(2窯目以降は安定します)、1窯目にヤク豆は3種類程限定して1窯目用と2窯目用2種類のプロファイル(火力調整の進行標準)を持つようにしています。(それ以外の豆は必ず2窯目以降にヤキます。)

以上、自分では分かり易くお伝えしたつもりですが、まだまだ伝わりきらないですね...きっと。

そうだ!

ホットケーキを焼く時、2枚目以降は上手く綺麗に焼けるのに1枚目はマダラで綺麗に焼けないって経験は有りませんか?アレです、アレッ!あれもフライパンやホットプレートの蓄熱が1枚焼くことによって安定するからなんですね!

 

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