No.186_フレンチプレス(コーヒープレス)の歴史とその特徴
今回はコーヒーを抽出する器具の“フレンチブレス”(コーヒープレス又は、プランジャーポットとも呼ばれます)の歴史と特徴に関するお話です。
まず、フレンチプレスがどういうものかその姿、形をご覧頂いた方が以下の話もイメージしやすいかと思いますので、参考までにbodum(ボダム)社の製品ページのリンクを貼ってみます。
■フレンチプレスの歴史
いきなり「歴史ですか〜!?」ですが、少しだけ...
19世紀中頃、フランス、ドイツでその原型が生まれた様です。そして1930年頃になるとイタリア人デザイナーが耐熱ガラスと金属部品を組み合わせたスタイリッシュなデザインを考案し始めました。そんな中のひとりファリエロ・ボンダニーニは1958年改良型で特許を取得し、フランスのマルタンSA社で「メリオール」とい商標名で生産、販売を開始。その手軽さが受けて、1950〜1960年代のフランスでは「一家に一台」と言われるほどの大ヒット商品になったそうです。このフランスでの大流行が、この器具が「フレンチプレス」という名で世に浸透することになった由来とのことです。その後、マルタンSA社は、デンマークのbodum(ボダム)社に買収されました。
方やアメリカに目を向けるとジョージ・ハウエルが、その浸透に大きな役割を果たしました。というのも彼は、1975年アメリカ、ボストンで“コーヒーコネクション”を設立し、上質なコーヒーをフレンチプレスで淹れて提供するというスタイルを初めて導入した人です。
また、ジョージ・ハウエルはクリーンカップという概念も提唱した人でもあります。クリーンカップというのは、「コーヒーの味は、雑味がなくクリアで味わい深いものであるべき」との理念です。このコーヒーコネクションは、その後、1994年にスターバックスに買収されましたが、アメリカでは今も家庭で淹れるコーヒーは、ハンドドリップ、コーヒーメーカー使用よりフレンチプレス使用が主流とのことです。
■フレンチプレスの特徴
粉を入れ、湯を入れ、その後4分待って、プランジャー(金属製のメッシュ)を押し込んだら出来上がり。とっても簡単、シンプルな使用方法です。それ故、粉量、湯量を同じにすれば、毎回風味はブレず、安定しているというのもイイところです。
そして肝心の味ですが、実はこの器具、“諸刃の剣”の一面があります。
ペーパードリップの様な濾過(ろか)抽出に比べ、粉を湯に浸す浸漬(しんせき)抽出ですので、一言で言うと”味が一番よく出る淹れ方”と言えます。先に“諸刃の剣”といった意味は、雑味の無い上質な豆を使用したときは、その風味を最高、且つストレートに味わえます。方や雑味を含んだ宜しくない豆を使用したときはその雑味も余すところなく抽出されてしまい、ペーパードリップでは飲めたものが、フレンチプレス使用では飲めない味になってしまうことも起き得る抽出器具といえます。
それ故、前述のジョージ・ハウエルも、使う豆の質に拘ったんですね。
コーヒーオイルも含めた、豆本来の(テロワールとも言える本質的な)風味、滑らかな口触り(マウスフィール)、ミルクとの更なる親和性、相性の良さ、色々楽しみが増えるフレンチプレスでの抽出は、いろどりこーひーをお楽しみ頂くのに一押しの淹れ方です。
いろどりこーひーは珈琲豆を通して、皆様の心豊かな生活に“彩り”をお届けします。
P.S.
過去のつぶやき『No.55_フレンチプレスでもう一つ先の風味まで!』にも関連の投稿があります。もし宜しかったら、ご参照下さい。