No.221_島根の小さな名店で“商い”の真髄に触れた夜

ゴールデンウィーク中、5日間、店休を頂戴し、初の島根県、鳥取県へ旅行してきました

空路島根空港に入り、鳥取空港から帰京するまで、レンタカーを利用して、出雲大社、鳥取砂丘、そして天橋立(こちらは京都府ですが)まで足を伸ばしてきました

出雲大社は予てから行きたかったところでしたので、やっとその念願が叶いました。緩やか〜に下っていく長い直線の参道は新緑に抱かれ、そこから既になんとも清らかで心地良い心持ちを体験しました

やがて拝殿が現れ、作法に倣い、2礼4拍手1礼でお参りした後、御本殿の周囲を進みましたが、御本殿の威容を放つ圧倒的な存在感には正に神域を感じました。そして神楽殿に達し、大しめ縄(5.2tあるそうです)を目の当たりにしたその迫力は、写真や映像を見て捉えていた印象よりは数段上のパワーを感じました

と、旅日記を書き始めるとキリがないのでこのへんにして、今回の本題、出雲市駅からほど近いところに位置する地魚料理店“久鶴(ひさづ)”さんをお訪ねした時のお話です

一言で言うと「心地良い雰囲気の中、一際美味しい一品一品を堪能しました」と言うことなのですが、今、ここで記したくなるほど、素敵な、そして貴重な体験でした

久鶴さんは、80代のご夫婦が切り盛りされているカウンター10席の地魚料理店で、創業50数年になるそうです

1ヶ月ほど前に電話予約した上で伺いましたが、その際、「何か食べたいものはありますか?」とのことでしたので、「もしノドグロが頂けるようでしたらお願いします」とお伝えしておりました。その際も最近はなかなかイイものが揚がらず、「入った時はね!」とのことでしたが、伺ったその日は運良く頂くことが出来ました。塩焼きで頂きましたが、脂のノリ、身の絞まった柔らかさ、上品な甘さ...とにかく最高の美味しさでした。ムシガレイ(水深140m程のところに生息しているそうです)の揚げものも頂きましたがこれまた絶品でした。お造りも、どの一品も最高の美味しさで、且つ提供されるその姿が実に美しい!旨いから美しいのか、美しいから旨いのか、その両方だと思いました

大将のコックコート(調理白衣)も真っ白でしっかり糊付けアイロン掛けされた出立ちでしたし、指がとっても美しかったですね...店内の整理整頓、清掃もピカピカでした。調理の所作や客サービスもテキパキと言うよりは、澱みなくスー、スーッと言った感じで何とも心地よく、安定感、安心感がありました。また、大将、女将の掛け合い、連携は絶妙で、見ててとっても微笑ましかったです

そんな美味しい肴と美味しい地酒、そして気さくで温かい大将、女将さんとも色々会話出来て、ホント素敵な時間を過ごさせて頂きました

そして僕は「美味しい料理を通して、私たちを幸せな気持ちにさせてくれるこのご商売は最高ですね!」と思わずお声掛けしてしまいました。それを聞いた大将が無言でニッコリされた表情は今でも忘れられません

また、店を出る時には、女将さんから「だん!だん!(島根の方言で「ありがとう」の意味)」とお声掛けして送り出して頂き、何ともほっこりした気分に包まれました

創業50数年の久鶴さんと5年目を迎えているいろどりこーひーには、天と地ほどの差がありますが、いろどりこーひーも久鶴さんのようなお店に育ってほしいな、育てたいなと、思わずそんな気持ちに包まれた素敵な島根の夜でした

 

いろどりこーひーは珈琲豆を通して、皆様の心豊かな暮らしに彩りをお届けします

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