No.238_ブラジルイパネマ農園アナエロビック精製
ブラジル イパネマ農園から届いた“スペシャルティの最高峰”ともいえる新しいロットをご紹介します
黄桃やプラムのようなネクタリン感
明るくジューシーでトロリとした甘さ
いろどりこーひーでは、エチオピア・ゲデブ ナチュラルが、アプリコット、ピーチ系のストーンフルーツ感を持っていますが、そちらの風味を「果実の透明感」と称するならば、このブラジルイパネマ農園アナエロビック精製はジャムやコンポートを思わせる濃厚さで、その風味の複雑さ、奥行き感は「果実のコク」を味わう!というような魅力に溢れています
ここで産地のイパネマ農園(Fazenda Rio Verde/Ipanema Coffees)をご紹介します
ブラジル南東部ミナスジェライス州の丘陵地に位置する世界最大規模(約6000ha)、且つ「次世代型の農業モデル」構築を進めている最先端のコーヒー農園です。その最先端の取り組みは、「コーヒー農園Labo」とさえ称されている農園です。(Laboは、Laboratory:研究所、実験室の意味)
この農園はブラジルの中では比較的高地(標高900m〜1,300m)に位置し、肥沃な大地も相まって、良質なコーヒー豆を生産するのにとても適したエリアです
広大な農地は、標高、方位、日照、風向きの違いに応じて、グリーブス(Glebes)と呼ばれる小さな区画に分けられ、それぞれの環境、条件に適した品種を栽培し、「テロワール(自然環境がもたらす個性的な味わい)」を最大限に引き出す取り組みが続けられています(これをマイクロロット化といいます)
次にイパネマ農園で行われている最先端の取り組み(ドローン、GPS、AIテクノロジーを駆使した生育、生産管理)の一端をご紹介します
マルチスペクトルカメラ搭載ドローンを定期的に飛ばし、コーヒーの木の葉の反射光ほかを測定。樹木の健康状態、乾燥状態、病害、栄養不足などを色分けしたマップで可視化(植生解析)。GPS /AIを駆使した選択的灌水、施肥。収穫時期は上空からの観測で熟度の違いをマップで可視化。それぞれの区画で完熟実をタイムリーに収穫。これらの情報、履歴は、細分化された区画位置をGPSタグ付け化し、完全なトレーサビリティが可能。また、GPS付き農機(トラクターなど)の作業エリア、稼働状況をタイムリーに把握し、コントロール。これにより効率的かつ高品質の栽培管理を推進
他にもいろいろあるのですが、これだけでも「コーヒー農園Labo」といわれる所以が理解できます。僕としてはこの豆のテストサンプルを口にした時の衝撃(驚きの味わい)があったので、その後知ったこのような取り組みも、「なるほど、そういうことだったんだ!」とストンと合点がいきました
そして今回ご紹介する“C6”と呼ばれる区画は、数ある区画の中でも「Premier Cru(プルミエ・クリュ)」と呼ばれる特別区画で、そこから生まれたこの豆は、本当にスペシャルな風味を体験させてくれます
生豆は通常、麻袋(その中はグレインプロと呼ばれるポリエステル素材の袋に入った二重構造)で輸入されますが、Premier Cruは真空パックされ、より慎重に、大切に出荷され、そして店に届きます(今回の写真はその箱のラベルです)
前述の「黄桃やプラムのようなネクタリン感、明るくジューシーでトロリとした甘さ」が生まれるには、精製方法がアナエロビック(嫌気性発酵)を経ていることも大きく寄与しています。今回は、紙幅も尽きてしまったので、次回、このアナエロビック精製(酸素を遮断する発酵の秘密)を、もう少し掘り下げてご紹介させていただきます
世界的にも注目を集めるイパネマ農園。その背景にある徹底した区画管理と革新的な精製技術がこの一杯のコーヒーに詰まっています。一般的なブラジルコーヒーのイメージ ――ナッツやチョコのような穏やかな甘み――とは一線を画す、驚きに満ちた一杯です
日常のコーヒータイムにブラジルの豊かな自然とイパネマ農園の挑戦を感じて頂けたら嬉しいです(なお、入手できた生豆が少量なものですから、期間限定でのご提供になります)
いろどりこーひーは珈琲豆を通して、皆様の心豊かな暮らしに“彩り”をお届けします