No.250_焙煎と排気

今回のテーマは、焙煎と排気です。少々マニアックなテーマですが、よろしかったらお付き合いください^^;

焙煎というと「豆を焼く」という表現がよく使われます。実際、火(熱源は都市ガス)を使いますが、“排気”によって熱のまわり方が変わる、とてもデリケートな工程です(これを乾熱調理といいます)

焙煎中、火力は頻繁に調整しますので、一番のキモと言えますが、排気も焙煎の両輪をなすものとして、とても重要です

排気の多寡は豆に加わる熱のバランスを左右し、結果として、豆の味(作り出される美味しさ、雑味を出さないこと、香の立ち等)にも影響を与えます

排気量も調整しながら焙煎する手法もあるようですが、僕の場合、固定のままです。これは焙煎のブレにつながる要素を、できるだけ減らしたいからです

焙煎機のメカニズムは、つぶやきNo.233で「ドラム式洗濯機とサイクロン式掃除機を組み合わせた様なものです」と、おおよそお伝えしましたが、排気は煙突から自然に出ていくというよりは、「サイクロンで窯内暖気を吸い出す」といったイメージの方が近いかと思います

排気量の調整はこの“吸い出す役割”のサイクロンと窯を繋ぐ煙道(鉄パイプのイメージです)部分を絞り込んだり、解放することで行います(そこに排気量調整用の可動板(鉄板)が取り付いていて、それを深く差すと煙道が狭まり排気量が絞られ、逆に浅く抜くと煙道が広がり排気量を増やすことができる仕組みです)

僕が使用しているドイツのProbat社の焙煎機は、①熱風と、回転するドラム鉄板との②接触熱(鉄板焼きの食材のように金属に触れて伝わる熱)と、ドラムを覆っている鋳物(分厚い鉄)からの③輻射熱(赤外線ストーブでじんわり温まるような熱)の3種類の熱が複合された熱で焙煎を進めていきます

美味しい豆づくりには、この3種類の熱のバランスを毎回最適に保つことが欠かせません

このバランスを乱す一番の要因は、焙煎している部屋の温湿度です(間接的には春夏秋冬の外気温変化が影響します)

そして次に注意を払わなければならないのが、排気量です。前述の通り、排気量を固定しているのは、焙煎のブレの原因となるパラメータ(変数)を少しでも減らしたいとの思いからです。そしてそれがお客さまの「同じ味に出会える安心感」にもつながると思っています

つぶやきNo.169で「煙突掃除は、3ヶ月毎に行なっています」と記しましたが、これも煙道が狭まる→排気量が微妙に減る→窯に熱が籠る方向に振れるので、火力を下げる→上記①〜③の熱のバランスが崩れる→出来上がりの豆の風味がブレる...ということが起き得るので、それを避けるためルーティン化しているメンテナンスです

というわけで、今回は焙煎に微妙な影響を与える排気についてのお話でした^^


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