No.37_焙煎機の火力調整

前回投稿『No.36_焙煎機の熱源』でガスを使用していることを書きました。今回はその火力調整についてのお話しです。

因みに料理の世界ではシェフや板前さんは、焼く、炒める、茹でる、揚げる、蒸すそれぞれの過程で温度調整を行います。そしてそれに合わせて食材を切る、刻む、混ぜる、調味料を加える...言い尽くせない程、多彩なテクニックを駆使して、最高の料理に仕上げて行くのだと思います。

一方、焙煎中やることと言えば、『火力調整だけ』です(笑)。

とは言え、この火力調整もなかなか奥が深いんです。

焙煎中、気を付けていることは、先ず『全プロセス完璧な再現性を以って進める』と言うことです。豆の立場に置き換わって考えると、『同じプロセスで焙かれ(熱風で温められ)、水分が抜けて行き、組織の化学変化が起き始めて、決められた状態になったら釜の外に出される(煎り止め)』と言うことです。これが決められた時間軸の中で寸分違わず同じ状況が再現されなくてはなりません。

焙煎は生豆を釜の中に投入することから始まります。(本日のサムネイル写真は焙煎機の生豆投入口をその上部から撮影してみました。上部の“ラッパ”のようなところから、投入します。)

話が一旦横道に逸れますが、例えば、パスタを茹でる時、グツグツと沸騰したお湯にパスタを放り込むと、そのグツグツはサッと収まり、暫くするとまた沸騰し始め、火力を調節すると言ったことを行うと思います。実は焙煎豆もこれに似た経過を辿ります。

釜の中に生豆を投入するとその内部温度がキューっと下がっていきます。その後、ある温度で均衡した後、再び温度上昇に転じます(この間、火力は一定です)。この時の最低温度は『ボトム』とか『中点』と呼ばれますが、先ずはこの温度を一年中、同温(±1℃)で管理しています。冬は投入する豆が冷え切っているので夏よりは高温時投入しますが、夏は豆がぬるい温度なので冬より低温時に投入します。このボトム温度管理が先ずは完璧な再現性のスタートになります。

焙煎中の火力調整はガス圧メータの表示を頼りに行いますが、実はこれも微妙で同じガス圧を示していても、日によっては同じ火力とは限らないんです。と言うのも例えば朝夕の気温が下がってきた昨今、『昨日はポカポカ陽気、今日は冷たい雨』なんて日もあります。そうすると都市ガスの建物外地中埋設配管も冷やされ、ガスの体積も収縮してガス圧と火力の関係にも微妙なズレが発生します。ですから、それを加味した調節が必要になります。

なんだか今日は『火力調節』と言いながら、ボトム温度管理だけの話になってしまいました。別の機会にその後の焙煎中の火力調整のお話も出来ればと思います。

 

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