No.77_テロワールをお届けしたい

テロワール(Terroir)、ワインの世界でよく使われる言葉ですが、実はコーヒーの世界でも同様に使われます。テロワールを少し検索してみると、『土地を意味するフランス語のTerreから派生した言葉』とありました。敢えて意訳するなら『自然の恵』と言ったところでしょうか...。その『テロワールを皆さまにお届けしたい!』が今回のテーマです。

言うなればコーヒーは“農作物”ですので、その生育環境によって異なる成長を遂げ、それぞれの風味が形成されます。また、お米や果物、野菜もその年によって豊作であったり、そうでなかったり...コーヒーも同じ産地、農園でも年により、出来がバラ付きます。

風味の違いという意味では、この生育環境以前に“コーヒーノキ”の品種違いに依るところが大きいとも言えますが、一方、長い年月を遡り俯瞰して捉えると、この品種の違いも生育環境が育んで来たとも言えます。

そして生育環境を更に噛み砕くと、天候(温湿度、日射、雨量他)や土壌(地質、肥沃さ、堆肥、肥料、水はけ他)の違いやその組み合わせが、大きく影響します。また視点を変えると、この天候や土壌と相関関係がある地理(緯度、高度)、地形(傾斜地、その方角)がテロワールを形成するとも言えそうです。

このテロワールを私たちはコーヒーを飲むという形で楽しむことが出来るわけですが、産地での生育、収穫以降、精製(乾燥、脱殻)、輸送、保管と大変多くのプロセスと人手を経て生豆が輸入されます。そして焙煎。そのどの過程でもマイナス要因があれば、飲むコーヒーの味にもマイナス影響が出るわけですから、そういう意味では僕が関わる焙煎も責任重大です。(^^;;

僕が出来ること『良い生豆を仕入れる』、『適正な焙煎をする』を通して、このテロワールをお届けする役割を少しでも担えるなら、こんなに嬉しいこと、取り組み甲斐のあることは無いと思っています。

この焙煎、『調理の一種』と言えるかもしれませんが、僕の気持ちとしては、『何も足さない、何も引かない』が信条です。『何も足さない』の『何』は『余計なもの』の意味で、『焙煎過多から発生する焦げ感、苦味感』、『焙煎不足から発生するえぐみ感等』を指しています。方や『何も引かない』の『何』は正に『豆が本来持っているテロワール』を指しています。過不足無い、適正な焙煎が実行されれば、そこにはテロワールだけが残ります。そしてこの『テロワールを是非皆さまにお届けしたい!、楽しんで頂きたい!』これが、僕がこの店を続ける一つのモチベーションになっています。

いつもこのコーナーの〆は『いろどりこーひーは珈琲豆を通して、皆様の心豊かな生活に彩りをお届けします。』ですが、このテロワールこそ”彩り”の源です!

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