No.172_生豆の固さと風味の傾向。グァテマラ、ブラジルの例

今回も前回に続き、生豆の固さに関連したお話です。

前回No.171では、『生豆の固さはそれぞれです』がテーマでした。そこでの主旨は生育環境の違いが生豆の固さの違いにつながり、それが風味の違いにも繋がっています...と言ったものでした。

ただ...お客さまにとっては、生豆の固さを知ってコーヒーを選ぶことはないので、逆の観点で「コーヒー豆の風味の違いは、多くは生育環境の違いから来てるんですね」程度にサラッと読み流して頂けると幸いです。^ ^

因みに『コーヒーノキ(アラビカ種)の生育に適した気候』ですが、

気温は年間を通して、且つ昼夜の寒暖差の観点でも15℃〜25℃の範囲で推移するのが理想とされています。実際には更に±5℃の10℃〜30℃でも結実はする様ですが、更に低温、高温の日が続くと収穫に影響し、特に霜が降りたりすると途端に不作になってしまいます。

他にも適度な雨量(年間1,500〜2,500mm程度、且つ雨季乾季があることが望ましい)、肥沃で水捌けの良い土壌、風通しの良い立地等色々デリケートなことが多いのですが、この様な環境は赤道付近(南北緯25°以内)の高地に存在します。

ここで、いろどりこーひーにおける二つの例、①比較的高地(グァテマラ・かため)、②比較的低地(ブラジル・やわらかめ)をご紹介させて頂きます。

①グァテマラの産地は比較的高地(ウエウエテナンゴ地域で標高1,500m〜2,000m)で、昼夜の寒暖差も大きく、実もゆっくり成長することで、かたい種子(豆)が出来上がります。そしてその間、個性的で豊かな“酸 ”がじっくり作り込まれ、これがフローラルな風味を演出します。

因みにグァテマラでは、栽培地の標高で豆の等級を格付けしていて、上位から順に...

・SHB(ストリクトリー・ハード・ビーン):標高1,300m以上

・HB(ハード・ビーン):標高1,220m〜1,300m

・SH(セミ・ハード・ビーン):標高1,050m〜1,220m

・EPW(エキストラ・プライム・ウォッシュト):900m〜1,050m

・PW(プライム・ウォッシュト):750m〜900m

と、なっています。因みにいろどりこーひーのグァテマラはSHBです。

②ブラジルの産地は比較的低地(スル・デ・ミナス地域で標高700m〜1,350m)で、昼夜の寒暖差も少なく、穏やかな気候のもと実もスクスク成長するので、種子(豆)のかたさもやわらかめです。それ故その間、“酸 ”もあまり醸成されず、穏やかな飲み口のコーヒーが出来上がります。

ところで豆のかたさってどうして分かるの?と思われる方もいらっしゃると思います...これは焙煎中、同じ進行を実現しようとする時、必要とするカロリー(火力×時間)に違いが出るので分かります。かたい豆を焙煎するには、それなりに多くのカロリーが必要になるからです。 

と言うわけでコーヒーの生豆には、既に自然の恵がたっぷり詰め込まれていると言うことなんですね。ちょっとロマンめいたものを感じますが、それをお客さまが飲む一杯のコーヒーまで、そっくりそのままお届け出来るよう、“ちゃんとした焙煎”(風味を損なうことなく、最大限に引き出す)をすることが焙煎人の使命と心得ております。^ ^

どうぞそれぞれの豆の個性的な風味をお楽しみください。

 

いろどりこーひーは珈琲豆を通して、皆様の心豊かな生活に“彩り”をお届けします。

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