No.197_ショ糖と砂糖、そしてカラメル化

コーヒーの生豆は焙煎を経て様々な化学変化を起こし、コーヒー豆となりますが、今回はその中の一つ【カラメル化】がテーマです。少々マニアックなテーマですが、宜しかったらお付き合い下さい。(^^;

結論を先に述べてしまうと 『生豆中のショ糖成分が、焙煎により【カラメル化】し、芳ばしい風味を作り出す』ということなのですが、そもそもこのショ糖って「何なのだろう?」ですね...“ショ糖”と似た言葉に“砂糖”がありますが、それも含めて、今一度調べてみました。

◾️ショ糖:ショ糖は砂糖の主成分であり、グラニュ糖では99.9%を、黒砂糖では90%を占めている(日本食品成分表)。 光合成能力を持つあらゆる植物に存在する。中でもサトウキビ、甜菜(てんさい)に多く含まれるので、これらが主に砂糖を作る材料に利用される。

◾️砂糖:ショ糖を主成分とした甘味料の総称

と言う訳で砂糖の主成分であるショ糖は、植物の光合成の賜物(たまもの)なのですね。そしてコーヒーの生豆にも重量比約10%のショ糖が含まれています。(これは成分であって、それ自体は甘いものではありません)

ネット検索していく中で(株)パールエースさんのHPに興味深い内容が掲載されていたので、紹介させて頂きます。それは砂糖水を加熱していく過程で起こる状態の変化についてです。

・103〜105℃ ⇨ シロップ:ガムシロップやコンポートに利用。

・115〜121℃ ⇨ キャラメル:冷めると柔らかく固まる。生クリーム等を合わせキャラメルが作られる。

・140℃ ⇨ タフィー:冷めるとガリガリとした固まりになり、キャンディに使われる。

・165℃ ⇨ べっこうアメ:黄褐色

・165〜180℃ ⇨ カラメルソース:茶褐色。香ばしい風味。プリンのカラメルソース。

・190℃ ⇨ カラメル:濃い褐色。香ばしい風味と粘り気。

つまり【カラメル化】は砂糖水を加熱していく過程の165℃〜190℃辺りの変化で促進されるというわけです。前述の通り、コーヒー生豆に含まれるショ糖は、砂糖の原料成分であって砂糖そのものではありませんが、カラメル化する化学変化はやはり同じ温度帯で起きます。

焙煎においてもこの165℃〜190℃に掛けてのエネルギーの与え方は極めて重要です。と言うのもこの温度帯では【カラメル化】の他、ショ糖とアミノ酸による【メイラード反応】、そして【ディープフライフレーバー化】も一気に進んで、コーヒーらしい風味がギュッと形成される温度帯だからです。実際の焙煎ではもう少し(200数十℃まで)煎りを深めますが、この165℃〜190℃を過不足なく通過する(焦がすことなく、且つ完全な化学変化を起こさせる)ことが一番の肝になります。

と言うわけで焙煎は単に『豆を茶色く焼く』ではなく、『過不足ない化学変化を起こさせて、美味しさを創り出す』と言うところに、あくなき取り組み甲斐があります^ ^

 

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