No.280_焙煎後の赤ペンチェック

今回の妙なテーマ「焙煎後の赤ペンチェック」ですが、実はこれ、焙煎直後にいの一番に行うルーティン作業なんです。この「直後に」ということが大切で、たった今、焙煎した中で“感じたこと”がホットな感覚のうちに実施することを心掛けています

1回の焙煎(生豆投入から窯出しまで)は、20数分で終了しますが、その間、焙煎の進捗管理のため、焙煎記録表に各温度毎の通過タイム、その時々の実施ガス圧(火力調整の目安)等、記入しながら進めます(黒ペンで)

焙煎記録表にはあらかじめ、生豆を投入するタイミングの窯内温度と、進捗温度10℃毎に切り替える計画ガス圧を記入しておきます(「10℃毎」というのは計画段階で、実施段階はさらに細かなチェックと切り替え操作を行います)

ちなみに美味しいコーヒー豆を焼き上げるには、窯内温度の上昇スピードは一定ではなく、あるところは早く(火力を強く)、あるところは遅く(火力を弱く)する必要があります

過去の店主のつぶやき「No.178_焙煎中、ブレは生じてもズレは生じさせない」でも少し触れましたが、焙煎中は大なり小なり、進捗のブレが発生します

進みがさらに早まりそうな時は計画ガス圧より実施ガス圧を絞ったり、遅れがさらに広がりそうな時は、逆に計画ガス圧より実施ガス圧を上げたりと、軌道修正しながら、計画進行に対しズレなく、全行程を正確にトレースするように制御していきます

そして焙煎が終わると、焙煎記録表は書き込みでいっぱいになります

そこから黒ペンを赤ペンに持ち替え、これを評価し、次回の焙煎に向けた計画を立てる作業が、今回のタイトルにもなっている“赤ペンチェック”という作業です

一番の目的は、「次回焙煎時の計画ガス圧を定める」ということになりますが、この作業は今回操作した数値(ガス圧)をそのまま次に適用すればいい、というわけではありません

起きた結果、施した結果に対し、評価、考察、立案といった思考をめぐらす必要があります

単純な事象としては、遅れ始めたフェーズ(窯内温度が10℃上昇する間を1フェーズと捉えます)があれば、「次回はもう少し強めの火力(+α)を入れよう!」となります

一方で遅れたり、戻したり、進めたりの対処が始まってからは、もう少し広い視野を持って事象を捉える必要があります

例えば、こんなケースがあったとします

「あるAフェーズで進捗が6秒遅れたので、次のBフェーズでガス圧を強めて、次のCフェーズでは±0に戻って計画行程に乗った」

この場合、遅れ回復のためにガス圧を強めたBフェーズは、窯全体も多めに温めたことになるので、その蓄熱も次行程のCフェーズに作用して、結果的に±0だったと読み取ります

すると次回の方針はどう考えるか...です

ここが焙煎の難しいところなのですが、単純に“遅れたから火を強くする”ではありません。なぜなら、焙煎機の窯は鋳物(分厚い鉄)で覆われていて、そこへの蓄熱も経過と共に変化し、それが進行に影響を与えるからです

こんな時、僕の頭の中では、次回に向けて以下のような組み立てを行います

 ・Aフェーズ: そもそも遅れを発生させないよう、次回はガス圧を【+α】する

 ・Bフェーズ: Aが改善されてオンタイムで入ってくると仮定すれば、もう急いで早める必要はないので、次回はガス圧を【-α】で計画する

 ・Cフェーズ: Bフェーズでガス圧を【-α】した分、蓄熱が下がることを計算に入れ、次回のガス圧は【+α】で計画する

何をいってるのか意味不明ですね...苦笑

僕自身は日常の思考ルーティンを思い起こしながら書いているので、十分理解して書いているつもりではあるのですが...(^^;;

これを全ての焙煎で毎回行います

そして次に焙煎するときは、同じ豆種の前回の焙煎表を広げ、そこに記載のある赤ペンの内容(ガス圧計画)を今回の焙煎表に転記して、焙煎に臨みます(この内容は豆種毎に全て異なります)

その際、基本的には計画通り進めますが、朝の店内室温が前回と3℃以上異なっていたり、前回の天候は晴れだったけど今日は雨(湿度が高い)のように環境に違いがあるときは、今までの経験則も当てはめ、ガス圧も意識的に微調整しながら進めていきます

これが春夏秋冬の温湿度変化にも対応しながら、年中、安定した味わいの豆づくりにつながっています^ ^

こうして書き出してみると、とても細かな作業に感じるかもしれません。でも僕が毎回この赤ペンチェックを続ける理由は、単に焙煎技術を高めたいからだけではありません

その先にある、“いつ飲んでも美味しい”というお客様の安心につなげたいからです

昨日飲んだのも美味しい
今日飲んでも美味しい
季節が変わっても、変わらず楽しめる

そんな一杯を届けるために、これからも小さな改善を積み重ねていきたいと思っています

 

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