No.284_コーヒー産地 “🇧🇷ブラジル”

これまで「コーヒー産地シリーズ」として、「No.231_コロンビア」、「No.232_エチオピア」、「No.246_インドネシア」をご紹介してきましたが、今回は世界最大のコーヒー生産国、ブラジルです

ブラジルは南アメリカ大陸の約半分を占める広大な国で、日本のおよそ22倍の国土を誇り、人口も約2億1千万人を抱える大国です

コーヒー産地は主に南東部から中西部に広がり、標高700〜1,300mほどの高原地帯に農園が点在しています。コロンビアやエチオピアのような険しい山岳地帯とは異なり、なだらかな丘陵と広い農地、そして乾季と雨季がはっきりした気候が、ブラジルならではのコーヒー栽培を支えています

コーヒーがブラジルに伝わったのは1727年といわれています。その後、ヨーロッパでコーヒーの需要が高まるにつれ栽培面積は急速に拡大し、1920年代のピーク時は世界のコーヒー生産量の約8割を占めていたこともありました。そして現在でも世界全体のおよそ3分の1前後(年の作柄により変動)を生産する世界最大のコーヒー大国です

主な産地はミナスジェライス州で、国内生産量の約半分を占めています。その中でも「スル・デ・ミナス」は甘みと酸味のバランスに優れ、また「セラード・ミネイロ」は乾季がより明確で品質が安定しています。同じブラジルでもチョコレートやナッツを思わせる甘みなど、産地によって表情は実にさまざまです

ブラジルの大きな特徴は、世界最大という規模だけではありません。広大で緩やかな地形を生かし、大型機械による収穫が行われるなど、生産効率の高さでも世界をリードしています

一方、近年はイパネマ農園のようにGPSやドローン、AI、気象データを活用した栽培管理や、小区画ごとの栽培・発酵技術にも力が注がれ、「大量生産のブラジル」から「高品質なスペシャルティコーヒーのブラジル」、さらには「スマート農業(精密農業)」の世界的トップランナーへと大きく進化、そして深化を遂げています

加えてブラジルでは、大学や研究機関、生産者が連携し、新しい品種の育成や病害虫対策、栽培技術の研究も盛んに行われています。こうした積み重ねが、今日の高品質なブラジルコーヒーを支えています

以前のブラジルコーヒーは、「ナッツやチョコレートのような穏やかな甘み」、「ブレンドの土台となるコーヒー」という印象が強かったように思います。もちろん、その魅力は今も健在です。しかし最近では、品種の選定や発酵技術、精製方法の進歩によって、ベリーやピーチ、パッションフルーツを思わせるような、驚くほど華やかな風味を持つスペシャルティコーヒーが数多く生まれています

いろどりこーひーでも、ブラジルは開店以来ずっと大切に扱ってきた産地です

ちなみにブラジルの豆は比較的柔らかく、火の通り方に素直な一面があるため、焙煎人の意図がダイレクトに風味に表れやすい、焙煎していて非常に面白い豆でもあります

ブラジル・スル・デ・ミナスは穏やかな甘みを楽しめる豆で、開店以来の定番人気コーヒーです。また、過去にはブラジル・ハニー(パルプドナチュラル精製)やイパネマ農園(アナエロビック精製)、そして現在はカルモナチュラル(ナチュラル精製)と、様々な精製方法の豆をご紹介させていただき、それぞれお客さまにご好評いただいてきました

そして今年もイパネマ農園の新たな区画のニューロットが入手できましたので、9月頃にご案内させていただく予定です。このサンプルをカッピングしたとき、「これは!」と、僕自身が衝撃を受けた豆ですので、お客さまへご案内できる日が楽しみでなりません

生産国のことを知ることは、コーヒーを飲むうえで必ずしも必要なことではありません。とはいえ、その一杯が育まれた土地の風景や、人々の知恵や挑戦に少しだけ思いを巡らせるだけで、いつものコーヒーが少し違って感じられたりもするものです

「ブラジル」と一言でいっても、その味わいは実に多様性に溢れています。ぜひ、それぞれの個性を楽しみながら、お気に入りの一杯を見つけていただけたら嬉しいです

 

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