No.49_立川志の輔さんと共感

年始に渋谷PARCO劇場で『志の輔らくご』を観てきました。毎年恒例ですが、昨年はコロナ渦中で止むなく中止になりましたので、2年前のPARCO劇場柿落としの『志の輔らくご』以来、2年振りに志の輔さんにお会い出来ました。

No.33の小三治さんに関する”つぶやき”の時も記載しましたが、志の輔さんも僕にとっては観に行く、聴きに行くを超えた「会いに行く」存在の方です。公演の最後はこれも毎年恒例の三本締めでお開きとなり、『さぁ、今年も一年がスタートしたぞ!』、そんな思いを胸に刻みました。

今年も志の輔さんのパフォーマンスは、痛快、圧巻、最高でした。公演はまだ続いていますので、ネタバレにならないよう内容には触れませんが、志の輔さんの芸はまた一歩上の域というか更に外側の域というか、また新たなスゴイ領域を切り開かれたなぁと、いつもいつも感心、感動します。3本やった演目は、いずれも志の輔さんが書き下ろした新作落語ですが、そこに出てくる登場人物、出来事、心持ちは、『あるある!』、『そうそう!』、『そんな人居る!』と共感する場面の連続で、クスッと笑ってしまうのでした。

『共感』...最近と言うか、店を始めてから自身、いろいろな場面で実感することが多くなったような気がします(対象の事柄も回数も)。これは、その人と同じ体験、同じ心持ち、同じ気構え、同じ興味等何かが重なることで起きるんじゃないかと思っています。そう言う意味では店を始めて、僕自身の環境は一変しましたし、心持ちの対象が変わったことも、共感の幅が広がった要因なのではと感じています。

一方、今回で言うと共感を与える側の志の輔さんは、新作落語を書き下ろす、そして演じるに当たり、きっと日頃の生活から卓越した洞察力や、感性、思いやりと言ったものを持ち合わせている故、なせる技なのではないかとも思うのです。そう、共感を受ける感性も優れた方なのではないか...と思うのです。

こうしたことも最近すぐ自分の店のことに重ねてしまうのですが、僕もお客様から共感を得られるよう、自身がお客様の立場になって、どんな商品(風味)があるといいのか、どんな接客サービスがあるといいのか、しっかり考えながらやっていきたいと思っています。似たような言葉に『お客様のために』と言うのがありますが、この言葉は『店側が客に施す』みたいな響きがあって、僕自身、その客の立場に置き換わるとあまり好きな言葉ではありません。むしろ僕自身が客になった思いでいろどりこーひーを眺め、共感出来るような、そんなお店になれることを目指して、今年も一年邁進致します。

 

いろどりこーひーは珈琲豆を通して、皆様の心豊かな生活に“彩り”をお届けします。

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