No.113_思考の肉体化・身体化

今まで100回を越える“店主のつぶやき”を投稿してきて、『今だと、こう言うことは書かないな...』ということは基本的には無いのですが、実は一つだけ有りまして...(^^;;

それは2021518日に投稿した『No.11_焙煎中はF1カーレースのドライバーの心持ちなんです』に記載した内容です。実は今は全くそんな心持ちは無いのです。

その時書いた凡その内容は、『焙煎中は刻々と上昇する釜内温度を表すデジタル温度計と焙煎開始からの経過時間を示すデジタル時計を交互に見比べながら、10℃毎の目標経過タイムとの誤差を±10秒以内に収めるため、都度頭の中でグルグル計算しながら、ガスの火力調整を進めています。そしてちょっとでも対処のタイミングがズレたり、対処する内容(火力)にズレがあると、誤差がさらに広がったり、±(早過ぎ、遅過ぎ)が逆転したり、F1カーレースに例えるとコースアウトや他の車との接触事故を起こしかねない事態を招くので、一瞬たりとも気が抜けません』といった内容でした。

一方今は...実に落ち着いた様相で焙煎しています。頭の中でグルグル考えることもないですし、バタバタ慌てたり、あたふたすることも一切ないです。それでいて進行5℃毎に自身で設定した目標経過タイムを全セクション±6秒以内で制御出来る様になりました。(操作の加減は豆種に依って、そして日に依って全て異なります。)

これは大雑把に言うと2つの改善の成果です。一つは焙煎記録表の改善。同じことを何百回も続けているので『ここをしっかり把握して対処して行こう』と言う気付きが色々出てきます。それを管理表に反映して行ったバージョンアップは数十項目に上ります。2つ目は焙煎というものを体で感じ、体で考え、体が動く(操作する)様になったことが大きいです。【思考の肉体化・身体化】ですね。No.11の投稿をしたのが開店後未だ2ヶ月も経っていないときでしたが、今や2年以上毎朝同じことを繰り返している中で到達した世界です。(ここに至るまでにはパイロットが着陸時制御する心持ち[No.47]や、はたまたすごく重たい機関車の運転制御の心持ち[No.75]にも重ねながら、焙煎中の心持ちに取り込んで来ました。)

しかしながらこの域は全くもって到達ポイントではなく、スタート地点に立ったに過ぎないと思っています。と言うのも完璧な再現性があってこそ、更に美味しい、更に魅力的なコーヒー豆作りの為の微妙な調整と挑戦が続けられると考えるからです。仮にも再現性が乏しく、いつも微妙に風味がブレていたのでは、更なる魅力的な豆作りなんて夢の話です。味の世界には、ある意味到達点(これでいいと言うもの)はありません。『No.99_不器用の一心』に記載した思いを貫き、自身の味覚をもっと研ぎ澄まし、更なる 魅力的な豆作りに取り組んでいきます。

 

いろどりこーひーは珈琲豆を通して、皆様の心豊かな生活に“彩り”をお届けします。

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