No.158_焙煎コントロールの拠りどころ

前回のつぶやきNo.157で「焙煎コントロールで豆の色は見ません」と記載しました。では、何を見るのか?(拠りどころにするのか?)で、「温度と時間、そして出来上がった豆の味です。」と記載しました。という訳で、今回はその続きです。

温度とは、ドラム内(窯内)の温度なのですが、もう少し補足すると...豆を焙煎するドラムの中には温度計(金属の棒状で熱電対温度センサーと呼ばれます)が付いていて、それを介してドラム内の温度が逐次デジタル温度計で0.1℃単位で把握出来ます。ここで「ドラム内の温度」と表現しましたが、焙煎中このドラムは回転し続けていて、豆は宙をバラバラと舞いながらヤカレて行きます。その間、豆は前述の金属の棒状温度計にコツコツ当たり続けていますので、僕はこの温度を便宜的に「豆の表面温度」→「豆の温度」→「豆の状態」と捉えています。

実は焙煎は豆を同じ温度でずーっとヤイテいる訳ではなくて、ある温度で投入した後、200数十℃まで上昇させ続けながらヤイテ行きます。ここで前述の「表示される温度を豆の状態と捉える」と「温度上昇に合わせて豆の状態が変化して行ってる」と捉えられるわけです。そしてロースティングポイント(=煎り止め温度)に達したときに窯の扉を開放し、ザーッと外に出し、空冷します。(「豆の状態変化をそこで止める」と言うことです。)

焙煎中は、豆投入のタイミングで起動させたストップウオッチのデジタル表示と前述のデジタル温度計を両睨みしながら、5℃ごとの経過タイムを記録し続けます。そして予め定めた目標通過タイム(これが焙煎プロファイルと呼ばれる物です)と比較しながら、発生する数秒の誤差をガス圧調整しながら、焙煎は進行します。

この様に焙煎の進行管理は、「豆の状態」を「温度」と言う間接的な指標を頼りに秒単位で把握、判断、対応していく作業です。仮にもこのコントロールの判断基準を『豆の色で判断する』としたらどのようなことになるでしょうか?多分進行は何十秒も、場合によっては分単位でブレるかもしれません。「豆の色が何色になったらこんな味になる」では、安定した味作り、美味しい味作りは不可能です。他にも豆が爆ぜる(ハゼる)音のタイミングとか香りの変化のタイミングを取り上げる手法もあるようですが、これらは全て結果、若しくは副次的な事象であって、焙煎コントロールの拠りどころにはならないと僕は考えています。

ところで冒頭、焙煎コントロールの拠りどころは「温度と時間、そして出来上がった豆の味です。」と記載しましたが、この中で更に一つに絞り込むとしたなら...それは間違いなく「味」です。

焙煎コントロールの拠りどころが「味」!?って、どう言うこと?ですね...

と言う訳で今回も長くなってしまったので、これまた次の機会のテーマにさせて頂きますね。to be continued ^ ^/

 

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