No.191_抑制の効いたいろいろな風味がバランスよく感じられる複雑さ

先日、ご来店頂いたお客さまが店主のつぶやきNo.189“コーヒーのコクとは”を読んで下さったとのことで、その中に記載していた『コーヒーのコクとは、抑制の効いたいろいろな風味がバランスよく感じられる複雑さ』のくだりは、「なるほどなぁと感心しました」と感想を伝えてくださいました。「その一方で、半分くらいなるほどなと思ったんですが、もう半分はそれって具体的にはどういうことだとう?と、興味が湧きまして...」ともお話しくださいました。

そこで、その場でお話ししたことや更に付け加えたいお話が今回の話題です。

先ず『抑制の効いた』の部分の補足ですが、その前提として『満たされた上で』のお話になります。それは必要なもの(風味)で『足りない』ものは何一つ無く、『満たされた上で過剰さがない』の意味での抑制です。

過剰な風味がない、突出した風味がないというのは、一見大人しいものです。穏やかとも言えます。『真に美味しいものは大人しい』、そう思います。言葉にするとニュアンスが難しいですが、大人しいは、薄口とは違います。ちゃんと満たされた美味しさを持っているからです。

これは何もコーヒーに限ったことではなく、日本酒、ワイン、日本茶にも言えると思いますし、更には和菓子にも、和食にも、フレンチにも...食全般に言えることではないかと思っています。

続いて『いろいろな風味が』の部分ですが、冒頭の方から『いろいろな風味がと言うのはブレンドした時の話ですよね?』と質問頂きました。この質問は本当にありがたかったです。と言うのも僕の真意は別のところにあったのですが、No.189のつぶやきに記した内容ではその意図は伝わり切らないと反省した次第です。

その僕の意図、思っていることですが...

「シングル(一産地の)豆も『いろいろな風味』で構成されている。つまり豆一粒が『いろいろな風味』を持っていて、それを抽出して、コーヒーと言う液体にして口にしたとき、その色々な風味が複雑に絡み合い、バランスして、えもいわれぬコクと、風味、美味しさをもたらす」と言うのが僕の思っているところなのです。

これ、補足説明をしているつもりなのですが、もしかして返って意味不明な世界に突入しているでしょうか?

コーヒーの生豆はある書物によると、アミノ酸、クロロゲン酸、クエン酸、リンゴ酸他酸類、脂質、タンパク質、多糖類、小糖類、カフェイン他(細かくは更に)で構成されているそうで、それらそれぞれに焙煎により化学変化が起きることでそれぞれが風味、香りを生み出すようです。化学的な詳細は僕も理解が及ぶところではありませんが、『これだけ複雑な構成物と化学変化を経てコーヒーと言う飲み物が出来上がるんだ』と言うのはイメージとしては理解できます。

そして出来上がったコーヒーの味をチェック、吟味することで次なる焙煎へフィードバックし、美味しさを追求していくことが焙煎人としての僕の役割と思っています。

 

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