No.205_“酸”と“酸味”、そして酸のキャラとボリューム
酸と酸味。似た言葉ですが、僕はそれぞれ違う意味合いで解釈しています。
(ここからは僕の解釈なので異論はあろうかと思いますが...)“酸味”というと、味覚表現の中の酸っぱさの度合い、またはその強弱を表す時に使う単語のように感じています。
方や“酸”は、食べ物、飲み物の美味しさを形作る(左右する)重要な風味要素。と、捉えています。
コーヒー豆は果実の種子(タネ)ですので、どの豆も少なからずや、酸を含んでいます。
そしてそれぞれのコーヒーが持っている酸は、コーヒーノキの品種の違いや産地の違いに応じて、千差万別です。(つぶやきNo.160ではこの酸の育まれ方について、もう少し詳しく触れています)
その違いがコーヒーの多彩、且つ異なる風味をもたらしてくれるのです。端的に言うと【酸のキャラ × ボリューム = そのコーヒーの個性的な風味】の様な感じです。
幾つか具体例を挙げてみると、エチオピア、ケニア、グァテマラ、タンザニア辺りの豆の酸はとてもユニークな(個性的な)キャラを持っていて、且つボリュームもあります。エチオピアのゲデブナチュラルの酸はアプリコットが持つ酸に近いキャラ、モカハマの酸はベルガモットが持つ酸に近いキャラ、ケニアの酸はブラッドオレンジが持つ酸に近いキャラ...の様に。
方やブラジルの豆の酸はそもそも質がとても柔らかく、マイルドでボリュームも控えめです。それ故、淹れたコーヒーもとても優しく飲みやすく、まろやかコーヒーの代表と言えます。
お店にお越しになるお客さまからも『酸味が苦手!』、『酸味の少ないコーヒーはどれですか?』とお問い合わせ頂くことがよくあります。店では2種類の試飲コーヒーをローテーションでご提供していますが、前述のエチオピアのコーヒーを試飲頂くと、その様なお問い合わせを頂いた方も『わぁ!フルーティ!美味しい!』と驚かれます。そこで『エチオピアのコーヒーはこのラインナップの中でも酸のボリュームがしっかりある方なんです』とお伝えすると更にびっくりされます。『全然、酸っぱくない!!』と。
そうなんです。『酸のボリュームがある』と言うことと『酸っぱい』と言うことは決して同義ではないと言うことなのです。
この店をやっている目的の一つに「コーヒーの美味しさをお伝えしたい!」と言うのがありますが、もう少し噛み砕くと『決して酸っぱさの度合いではない、質の良い、魅力的な酸のキャラを是非是非お伝えしたい!』これが僕の切なる思いなのです。^ ^
いろどりこーひーは珈琲豆を通して、皆様の心豊かな生活に“彩り”をお届けします。