No.10_良質な酸味を楽しむ

『No.9_『酸っぱいコーヒー』は嫌いです!』の中で、“嫌な酸味”についてお話ししました。これが極端になるとアストリンジェント(Astringent)とも言われる渋み、エグ味と言った類の刺激の表現を帯び始めます。そしてそれらが発生する主な要因、さらにはそれらを無くすための方策について触れました。今日はその上での“良質な酸味”についてのお話です。

話は少し横道にそれますが、皆さんは果物はお好きですか?果物を口にした時にも、『うわー酸っぱい!』と感じたり、『うわー甘い!』、『うわー美味しい!』と感じる瞬間がありますよね!これはどの果物もそれぞれ酸を持っていて、その質と量の違いが、味の違いであったり、美味しさの違いに結びついてるからなんですね。みかんやブドウを口にして、『これ甘くて美味しい〜!!』ってことあるでしょ、この感覚です。コーヒー豆も果実の種子ですし、焙煎してもフルーツの要素を持ってるんですね。と言うわけでコーヒーもその豆が持っている酸の質と量の違いが、風味、味わいの違いを形成します。

またまた話が横道にそれますが、皆さんはワインはお好きですか?ワインはブドウから作られることは誰もがご存知ですね!ワインの世界では産地特有の個性(その土地の気候、風土、土壌等畑を取り巻く自然環境要因。これをテロワール(terroir)と言います。)に起因する風味の違いを楽しむと言う考え方があります。さらに栽培方法、収穫方法、醸造方法、輸送、販売等人的要因も加わり、最終的に僕たちは一杯のグラスのワインを手に出来るわけですが、この『テロワール』の考え方はコーヒーの世界にも共通してあります。(『From Seed to Cup』と表されたりもします。)

嫌な酸味、刺激をアストリンジェントと表現するのに対して、良質な酸味はコーヒーの世界ではアシディティ(Acidity)と表現します。これがあることにより、フルーティさ、フローラルさ、シトラスさ、華やかさ、明るさ、キレの良さ、そして魅力が感じられるんです。アストリンジェント寄りな酸味体験で『コーヒーは苦手』となってしまうことは、ホントに残念でもったい無い事です。是非、アストリンジェント感が一切無いいろどりこーひーで、コーヒーの産地ごとの良質な酸味(アシディティ)の質と量の違い、そしてテロワールを体験、お楽しみください!

『良質な酸味』を体験した上で、果物のように好物(嗜好)が分かれるのは当然ですし、それをご自身で発見することはとても楽しいですよ!

その機会をご提供するのが、僕の使命との思いで日々焙煎に勤しんでおります。^ ^

なんだか今日はカタカナ、横文字が多くなりましたが、良質な酸味体験をお伝えしたく、このようなことになった次第です...(^^;;

 

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