No.292_コーヒーの風味表現における“ラウンド感”

前回の店主のつぶやき『No.291_味は半分、見た目半分、そして引き算の思想』の中で、「心地よいラウンド感」という言葉を使ったところ、それを読んでくださったある常連さんがご来店された際、「なるほどねぇ」とお話してくださいました。一方で、別の常連さんからは「ラウンド感とか、丸みって聞いても、イマイチピンと来ないですねぇ...」というお声も

それを伺って、まず何より「このつぶやきを読んでくださっているんだ!」と嬉しくなりました。また、書いて終わりではなく、こうしてお客さまと言葉を交わすきっかけになることは、毎週書き続けていく上で、何よりの励みになります。ありがとうございます

ところでこの“ラウンド感”という言葉。実はお店でお客さまにコーヒーを説明するときに、一度も使ったことがありません

スペシャルティコーヒーの世界では、香りや風味、酸味、甘さ、口当たり(マウスフィール)などを、フルーティー、フローラル、ジューシー、シルキー、スムース…といった様々なカタカナ言葉で細かく表現します

もちろんそれも大切な評価基準なのですが、僕自身は説明を受ける立場になったとき、そうした言葉やチャートを見せられても、具体的にどんな味わいなのかイメージしにくいと感じてしまうのです。だからこそお店では、できるだけ日常の言葉でお伝えするようにしています

ですので、今回タイトルに『コーヒーの風味表現における“ラウンド感”』と掲げてはみたものの、ことさらそれを事細かく力説したいわけでもありません。ただ、僕がコーヒーを焙煎し、味を創る上で、とても大切にしている感覚なものですから、その思いを少しだけご紹介させていただこうかと思います

まず、僕が考える“ラウンド感”が生まれるには、“良い生豆”と“良い焙煎”が掛け合わされる必要があると思っています(そのどちらかが欠けたり、至らなければ、実現しないということです)

ここで言う“良い生豆”とは、必ずしも“高価な豆”という意味ではありません。その土地の風土を生かしながら丁寧に栽培され、熟度を見極めて収穫され、適切な方法で精製・乾燥されたクリーンな素材。それが僕の考える「良い生豆」の条件です

そして“良い焙煎”とは、焙煎中の各フェーズで適正に熱を伝え、豆が持つ成分に必要な化学変化を過不足なく起こしていくこと。そうすることで、豆本来の甘さや香り、酸味、質感がバランスよく引き出されます

その結果として生まれるのが、僕の思う“ラウンド感”です

敢えて言葉で補足するなら、『豆が持つ個性的な酸が角立つことなく、心地よい甘さに包まれ、口の中で丸みをもって柔らかく広がり、静かな余韻へと繋がっていく感覚』でしょうか

これはシングルオリジンはもちろん、ブレンドの配合を決めるときにもとても重視している感覚です

舌の一点だけに突出した味が感じられるのではなく、さまざまな要素が調和しながらふんわりと広がり、飲み込んだ後も、心地よい余韻が残り続ける。そんなイメージです

えっ?ますます意味不明になってしまいましたか?(苦笑)

だからこそ、僕としては難しい説明を並べるよりも、お客さまがいろどりこーひーのコーヒーを口にしたときに、

「なんだか美味しいな」 、「なんだか飲みやすいな」 、「なんだか、また飲みたくなるな」

そんな風に、無意識のうちに感じていただけるのが一番だと思っています

結論としては、どうぞ“ラウンド感”なんて専門用語は気になさらず、日常の暮らしの中で「なんだか美味しい」を思い思いにお楽しみ頂ければと思っています

みなさまの毎日にそんな小さな心地よさが届くことが、僕にとっての、何よりの喜びです

 

いろどりこーひーは珈琲豆を通して、皆様の心豊かな暮らしに“彩り”をお届けします

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