No.59_再現性(焙煎編)
今日のテーマは『再現性』です。コーヒー焙煎の再現性を中心に書いていこうと思いますが、その意味合いはいろいろな場面に当てはまるかも知れません...
僕はこの『再現性』ということを、『おいしく魅力的なコーヒー豆を作る』ことの大前提と捉えています。『それなくして、その実現は無し!』と言ったところでしょうか。
例えば前回焙煎したコーヒー豆と同じ味を再現するには、同じものを同じ様に焙(や)けば良いわけですが、この『同じ様に』を実現するためには、細心の注意と同じことを繰り返す忍耐が要求されます。
話は逸れますが、きっとラーメン屋さんのスープ作りも、フレンチシェフが作る料理もこの再現性を高めるため、数々の工夫をしているのだと思います。もっと話が逸れると、フィギュアスケートの羽生弦さんもスノーボードハーフパイプの平野歩夢さんもその大舞台で大技を決めるため、正に再現性を高めるため、練習で何百回も同じことを繰り返して、微妙な工夫を積み上げているのではないかと思うのです。
実は焙煎も同じ心持ちです。再現性を高めるため(同じ結果〔=風味〕になるように)、同じことを同じ流れで何百回も繰り返しています。同じにするのは焙煎進行中だけでは有りません。朝、店に入って照明を点け、換気扇を回す以降の準備フローもそうですし、当日焙く豆はその前日に定めておくので、仕事終わり時点で、焙く豆の過去データや、必要な道具類(豆計量秤、収納ケース等)をセットしておくのもお決まりの流れです。自身がコントロール出来ることは全て同じにすることで(ルーティン化することで)、自身がコントロール出来ない小さな動き、違いにピンポイントで微修正を加えて行けるようになり、再現性が高まるわけです。
その間、行なっていることを具体的に書き始めると、とても長くなってしまうので、少しだけ触れますが、『焙煎環境、焙煎条件と共に焙煎経過を詳細に記録し、且つ焙煎直後にそれを振り返って次に気を付けること、試してみることを総括して記録し、次の焙煎でそれを実証(仮説を検証)する』と言ったサイクルをひたすら繰り返します。この間、つぶやきNo.57に記載した、カッピング検証を常にセットで進みます。
ここまでは焙煎人としての僕が取り組んでいる再現性に関するお話でしたが、皆さまにとっては家でおいしくコーヒーを淹れる再現性の方が興味がありますよね。というわけで、これもまた別の機会で触れてみます。
いろどりこーひーは珈琲豆を通して、皆様の心豊かな生活に“彩り”をお届けします。