No.120_深煎りに向いている豆

今回の写真、2週間前このつぶやきに掲載したものと同じ株ですが、綺麗な満開を迎えていました。

さて、今回のテーマ、深煎りに向いている豆、向いていない豆についてです。

深煎りにするか浅煎りにするかは、僕が『こんな味にしてやろう!』と決めているわけではなく、あくまでも出来あがった豆が(飲むコーヒーがという意味ですが)美味しいか!魅力的か!で自ずと決まってくるものです。(そこにはつぶやきNo.118119で触れた味覚で判断、絞り込んで行くステップが必須ですが...)

では、冒頭の『深煎りに向いている豆』とは、どういう豆でしょうか?

結論を先に申し上げると『固い豆』と言うことになります。(ここで言う『豆』は、焙煎前の『生豆』を指しています。)

『固い豆?なにそれ?』ですね...(苦笑)

先ず物質的な観点ですが、豆は焙煎が進むと成分変化と共に膨張して行きます(つぶやきNo.78に書いた通りです)。体積で言うと1.51.7倍になります。一方、重さは凡そ0.8倍、2割軽くなります。ミクロ的には豆表面は亀裂だらけになり、豆の中はスポンジのように小さな空洞だらけになります(すなわち脆くなる)。固い豆でないとこの変化がより早く起きて、自ずと焙き(やき)進められなくなります。それを超えると焦げる以前にスカスカ、パサパサになり、コーヒーの本来の風味も崩れてしまうからです。

そもそも『固い豆』、『柔らかい豆』は、どうして出来るのでしょうか?

それは一つの例を出すと分かりやすいと思うのですが、寒冷地の針葉樹はゆっくり育つので年輪も細かく固いのに対して、熱帯地域のラワンはすくすく育ち、年輪も広く、柔らかく、軽いことと似ています。

固い豆は柔らかい豆より概ね高地産です。高地は昼夜の寒暖差がしっかりあり、温暖な低地に比べゆっくり成長します。このゆっくりが前述の寒冷地の針葉樹の如く、固い豆を作るわけです。

実は固い豆が深煎りに向いている理由はもう一つあります。昼夜の寒暖にさらされながらゆっくり生育することによりその果実、そしてその種(種=生豆です)に上質な酸が醸成されます。この上質な酸が深煎りのコクとバランスして、とっても魅力的な風味をもたらすのです。この酸が無い(少ない)ものを深煎りしてもそのコクはボディ感に欠ける風味となってしまいます。

と言うわけで『固い豆』は、深煎りに耐える強度を持ち、且つ深煎りで深まるコクとバランスする(響き合う)魅力的な酸を持っている故、深煎りに最適な豆と言えるのです。

 

いろどりこーひーは珈琲豆を通して、皆様の心豊かな生活に彩りをお届けします。

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