No.218_コーヒーにおいて甘さが融合する世界
前回の店主のつぶやきで『No.217_コーヒーの余韻の魅力』を投稿したところ、ご来店頂いた複数のお客様からお声掛けを頂きました。「読みましたよ、「とっても興味深かったです」、「そうそう!そして、なるほどねーと思いました」、一方で「“酸が甘さに包まれた状態”って書いてあったけど、甘さってピンとこないですねぇ」と言ったお話も頂きました。そこで今回のテーマは、『コーヒーにおいて甘さが融合する世界』としてみました
僕の思いを先に言ってしまうと...
①焙煎による甘さが備わることで、コーヒー生豆が持つ産地固有の酸(テロワール)が最高の美味しさに高められる
②焙煎による甘さが備わることで、コーヒーに丸み、深み、優しさをもたらす
③焙煎による甘さが備わることで、コーヒーの余韻に滑らかさが生まれ、心地よさが尾を引く様に長く続く。そして心まで和む
甘さ生成のメカニズムは実は複雑で、「この物質にこの様な作用を与えると甘さが生成されます」と言った単純なものではありません。カラメル化、メイラード反応、ディープフライフレーバー化等の化学変化が複雑に絡み合い、作り出されます。(過去の店主のつぶやき『No.197_ショ糖と砂糖、そしてカラメル化』で触れましたので、その詳述は割愛し、前述の①〜③に少し補足します
①について。先ずコーヒー生豆は産地ごとに、もっと言うと生育環境ごとに異なるキャラクターの、且つ異なるボリュームの酸を保持しています。(『No.205_“酸”と“酸味”、そして酸のキャラとボリューム』に詳述)
その酸が個性:大、量:大(例えばエチオピアのゲデブ・ナチュラル)だと、その酸を甘みが後押しするような役割を果たし、たとえば白桃のようなジュワッと広がる甘みを思い起こすような“果実本来の甘さ”や、“豆が持つ透明な甘み”が存分に楽しめるコーヒーに仕上がります
一方、個性、量共控えめな酸(例えばブラジル)だと、甘さが絡むことで落ち着いた優しい味わいになります。その分、飽きが来ず、日常使いにはとても重宝します
②について。仮に甘さが備わっていないと、そのコーヒーは薄っぺらで、単調で、バサついた印象の風味となり、とても次の一杯が進むコーヒーとはならないでしょう
そして③が前回『No.217_コーヒーの余韻の魅力』に通ずる内容です
いわば焙煎は、『“酸の明るさ”と“甘さの余韻”の黄金バランスを手繰り寄せる作業』と言えるかもしれません。僕はこのバランスを見つけた瞬間、「あっ!来た!」と心が震えるんです!^^;
いろどりこーひーは珈琲豆を通して、皆様の心豊かな暮らしに“彩り”をお届けします